津和野中学校のNIEコーナーに掲示された、サッカーワールドカップを伝える本紙=島根県津和野町町田
津和野中学校のNIEコーナーに掲示された、サッカーワールドカップを伝える本紙=島根県津和野町町田

 「サッカー日本代表もさることながら、山陰中央新報の『速攻』に驚きました」。そんな説明文とともに、島根県津和野町町田の津和野中学校内の一角にワールドカップで強豪ドイツを破った試合を伝える11月24日の本紙が張り出された▼掲示したのは山本悦生教諭(52)。新聞を教育に生かすNIE(エヌアイイー)実践校の津和野中で活動を主導する。説明文は続けて、試合終了後4時間余り後には先生の自宅に新聞が届いたこと、出雲市にある印刷工場から日原の販売店まで車で約3時間かかることを記し「この新聞が通常通り配達されるのに、どれだけの労力がかかったのでしょうか」と生徒に問いかける▼日本サッカー史に残るあの夜は新聞社にとっても、しびれる夜となった。印刷工場から遠い石見部に配る新聞の締め切り時刻は早く、試合が終わったのはぎりぎりのタイミング。わずか十数分の間に1面や運動面、社会面に結果を入れて完成させた紙面が印刷、配達へとパスされ読者宅に無事ゴールした▼2日早朝のスペイン撃破は電子号外を配信するとともに、紙の号外をJR松江駅で配った▼速報性ではテレビやインターネットに劣るが、活字の確かな情報を待つ人たちのために各部署が連携プレー。熱を帯びるサッカーの祭典も、確実でスピーディーな「堅守速攻」の紙面制作で乗り切り、読者に「ブラボー!」と喜んでもらいたい。(輔)