大賞を受賞した和菓子「うつろい」(有斐斎弘道館提供)
大賞を受賞した和菓子「うつろい」(有斐斎弘道館提供)
和菓子を作る園山武志さん=松江市矢田町、風流堂本社工場
和菓子を作る園山武志さん=松江市矢田町、風流堂本社工場
大賞を受賞した和菓子「うつろい」(有斐斎弘道館提供)
和菓子を作る園山武志さん=松江市矢田町、風流堂本社工場

 清少納言の随筆・枕草子を題材にした全国公募の「京菓子展」で、松江市の老舗和菓子店・風流堂の園山武志さん(46)が大賞を受賞した。8色の練り切りを、おだまきにして移ろう四季を表現。繊細さと技術が高く評価された。

 主催は京文化を伝える活動をする「有斐斎弘道館」(京都市)で、593点から書類や冷凍の実物を基に審査。園山さんは上生菓子の実物を審査する部門で評価された。副賞として来春、京都市で個展かお茶会を開ける。ほかにデザイン画で審査する部門もある。

 園山さんの大賞作品「うつろい」は、枕草子の春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて-から始まる段の各季節の特徴を色で表した。春はピンクと紫で桜や雲、夏は黄色や緑で水草の近くで光る蛍、秋はオレンジや朱色で夕暮れ、冬は白と黒で雪と炭火の火おけをイメージ。ひも状の生地の形が崩れないように寒天で固めた。

 普通の練り切り菓子は30個を30分程度で作れるが、「うつろい」は色の調合が難しく、2時間半かかる大作。3回目の挑戦で大賞を受賞した園山さんは「和菓子店が減っているので若い人が関心を持つきっかけになってほしい」と話した。

 京菓子は文学や美術などの影響を受け発展した歴史がある。松江の和菓子の重さ42~45グラムより大きめで50グラムあり、抽象的でシンプルなのが特徴という。

(井上雅子)