「Chat(チャット)GPT」というウェブ上のアプリケーションをご存じだろうか。米国企業が11月末に公開したサービスで、利用者の質問に対し、人工知能(AI)がチャット形式で瞬時に答えてくれる。国会内であった石破グループの勉強会で、メディアアーティスト落合陽一氏の講演を聴いて、AIの進化に衝撃を受けた▼落合氏はChatGPTを「官僚文書を書くのが得意。(知能は)全分野で修士課程を出た人くらい」と高く評価する。事例に挙げたのは首相演説。過去の文章を途中までコピーし、続きを書くよう求めると「それっぽい」文が表現され、聴いていた議員からも驚きの声が上がった▼特筆すべきは文章作成の速さ。一瞬にして数百文字程度の文が出来上がり、人間の能力ではとても追い付くことができそうにない。使い方次第で大学の論文が書けるだろうし、さらに精度が高まっていけば、官僚だけでなく新聞記者の仕事も脅かされるかもしれない▼アナログ人間としてはAIに頼り過ぎる社会に違和感を覚える。考える力は衰え、似たような思考や文章があふれるのではないか。うまく活用し、既存の仕事と共存できる道を探りたい▼とはいえ政治的な判断はChatGPTも答えてくれない。8月の内閣改造以降、秋葉賢也復興相の更迭で閣僚の交代は4人目になった。首相は自らの言葉で納得できる説明を続けるしかない。(吏)