地方議員のなり手不足解消をテーマとした地方制度調査会の答申が昨年末に行われた。春に統一地方選を控えるだけに中身が注目されたが、議会(本会議)へのオンライン出席など、問題解決への一歩となる法制化は見送られた▼これに対し、法律に規定するよう求めたのは「議員は住民の負託を受けて誠実に職務を行う」などといった明文化しなくてもいい議会の定義。寂しさを感じる▼解せぬのは、見送りの理由に「国会における対応も参考に、丁寧な検討を進めるべき」とあるなど、国と歩調を合わせることを意識している点だ▼議会のオンライン出席を巡っては、委員会については総務省が容認し、同省によると、2022年1月1日時点で7・6%の135団体が条例を改正し、導入した。一方で定足数の確認や表決がある本会議は、地方自治法上の「出席」の解釈が「議場にいること」であるため、オンライン出席は認められないというのが理屈のようだ。だが、表決の場は委員会にもある▼選ばれた人が入れる議場の空気は、はたから見ても重い。それだけにオンライン議会が無条件で良いとは言えないが、介護や仕事などで議事堂へ行きづらい人に配慮する選択肢がないというのは、いかがなものか。自治体ごとに自ら考え、条例で定めればよい類いの問題ではないか。地域で決められることが増えなければ、地方議員のなり手は増えない。(万)