2020年6月、日本遺産に認定された益田市のストーリー「中世日本の傑作 益田を味わう~地方の時代に輝き再び~」。中世に益田を治め、経済的繁栄と政治的安定をもたらした領主・益田氏を軸とした遺産群を広く発信していくため、まずは地元で価値を共有したい。ふるさと教育やUターン者を絡めた取り組みが動き始めた。 (益田総局報道部・中山竜一)

 昨年11月、益田氏の居館跡・三宅御土居跡や居城の七尾城跡などが点在する益田地区で開かれた「日本遺産スタンプラリー」には市内を中心に約100人が参加し、町歩きを楽しんだ。

 日本遺産の認知度を高めようと、地域自治組織・ますだ地域づくり協議会が前年に続き開催。ガイド役を務めたのは、地元の益田東中学校(東町)の1年生74人だ。

 生徒たちは、いずれも国指定史跡・名勝の雪舟庭園がある万福寺や医光寺など6カ所について事前に調べ、郷土の歴史を物語る日本遺産の構成文化財の魅力をどう伝えればいいか話し合った。

 単なる郷土史学習にとどまらず、主体的に学びを進め、さらに来場者に案内することで調べ物をする力やコミュニケーション力を高める総合学習の一環。格好の教材が校区内にあり、郷土愛の醸成にもつながる。

 イベント当日、万福寺(東町)では...