「文芸」春号の特集はずばり「批評」。その責任編集を務める瀬戸夏子と水上文の対談のなかで、女性が女性の作品を評する際に不安や屈託を感じるのはなぜかということについて、かつて瀬戸が同誌上に寄せた秀逸な文言が引用されている。「盗まれたくないから、どれだけこき下ろしてもそこに薄皮一枚の肯定を挟まなければいけないと知っているからだ」―。

 すなわち「女の敵は...