島根県庁
島根県庁

 島根県内の新型コロナウイルス感染者の確認数が12日、84人となり、昨年10月10日(86人)以来、約4カ月ぶりに2桁台に下がった。現在主流のオミクロン株「BA・5」の亜系統が自然収束期に入ったとみられる一方、高齢者を中心とした死者の確認が続く。3月以降はマスクを外す動きが広がる可能性が高く、県は第9波の到来を警戒している。

 【グラフ】島根、鳥取両県の感染者数の推移

 県内の1日当たりの感染者数は1月4日確認分(1970人)をピークに減少し、今月以降はおおむね200~300人台で推移。1週間当たり(人口10万人当たり)も、12月17~23日に過去最多の1351・6人となってから、1月19~25日には495・2人と500人台を割り込み、12日時点で250・2人まで下がった。

 県内の累計感染者数は16万3千人で、オミクロン株に対応したワクチンの接種は47%ほど。7~8割が目安とされる集団免疫の獲得に及ばない水準で、県はこれまで県内で流行した変異株がいずれも3~4カ月ほどで収束した点を考慮し、自然収束期に入ったことが減少の理由とみている。

 一方、県内では昨年10月11日以降の第8波で確認された死者(9日時点)183人の平均年齢は86・4歳と高齢者の死亡が目立ち、今月も13日間のうち10日で死者が発表された。政府は3月13日以降、屋内外を問わずマスク着用を個人の判断に委ねる方針で、歓送迎会や引っ越しの時期にも重なるだけに、県は感染法上の分類が「5類」へ引き下げられる前に第9波が広がる可能性を示唆。県感染症対策室の田原研司室長は「企業や事業所への働きかけを継続し、高齢者への広がりを少しでも抑えることに注力する」と述べた。
     (佐々木一全)