松江OKSプロジェクトで4社が製作したお菓子
松江OKSプロジェクトで4社が製作したお菓子
一つずつ手作業で製造されている「あんケーキサンド」=松江市東出雲町錦浜、中浦食品
一つずつ手作業で製造されている「あんケーキサンド」=松江市東出雲町錦浜、中浦食品
松江OKSプロジェクトで4社が製作したお菓子 一つずつ手作業で製造されている「あんケーキサンド」=松江市東出雲町錦浜、中浦食品

 「OKSプロジェクト」は、参加した菓子製造の4社が新たな挑戦へ一歩踏み出すきっかけとなった。

 三英堂(松江市浜乃木1丁目)の「ミルク薫るミニ白どら」は、どら焼きを焼かずに蒸して、白色を残すことにこだわった。生地の状態をふわふわに保たせるために、配合を工夫しながら何度も試作を重ねた。中にはクリームを入れ、洋風も取り入れた。さらに「これまで作ってこなかった」というクリーム入りの大福も作り始めた。「昔ながらの菓子を作りつつ、カジュアルに楽しめるお菓子も今後は必要」と、同社総合企画室長の岡英介さん(37)。新たなバリエーションを広げようと知恵を絞る。

 福田屋(松江市矢田町)は、生地であんこを包む「包あん機」をこの機に新調。これまでは、生地とあんこの2重の商品しか作れなかったが、今回新調した包あん機によって生地、あん、そしてクリームチーズを3重に包むことが可能になった。しかし焼き上げに課題が残った。あんが硬すぎたり、生地との隙間ができたりと、試作で浮かび上がった問題を半年かけて少しずつクリアし、「松江ふわり」が完成した。

 中浦食品(松江市東出雲町錦浜)の「あんケーキサンド」は、全て手作業で製造することにこだわった。看板商品の「どじょう掬(すく)いまんじゅう」をはじめ、機械による効率的な製造を続けてきた同社があえて手作業を取り入れたのは「見た目のインパクト」を重視したからだ。

 だが、製造現場の負担は増える。「誰が現場に伝えるか、という空気もあったが、最後は試作品の味で説得した」と、同社商品企画グループの大江沙依主任(30)は振り返る。幸い新型コロナウイルスの影響で売り上げ、生産量ともに減った分、時間と人手が確保できた。

 プロジェクトが若い女性をターゲットにしたことは、菓子店側に刺激を与えた。大名茶人松平不昧好みの和菓子「山川」を継承する風流堂の内藤葉子社長(53)は「これまでの和菓子の美的感覚とは違うものが求められる」と直感。「『お茶の引き立て役』としての和菓子の基本路線を維持しつつ、振り切った菓子を生み出すことは挑戦だった」と打ち明ける。

 和菓子ならではの「感じる」文化を楽しんでもらおうと、5種類の味を用意した「五縁の味わいひとくち饅頭(まんじゅう)」。そこに込めた意味を内藤社長はあえて説明しない。「かわいいだけじゃない、味わいも楽しめるよう考えたのは、老舗の意地」と静かに語る。

 築いてきた伝統や特色を守りながら、新たな境地に足を踏み入れた4社。その新商品には各社の気概がにじんでいる。