新銘菓「ご縁をむすび」を試食する丸山達也島根県知事=4月26日、松江市殿町、島根県庁
新銘菓「ご縁をむすび」を試食する丸山達也島根県知事=4月26日、松江市殿町、島根県庁
新銘菓「ご縁をむすび」を試食する丸山達也島根県知事=4月26日、松江市殿町、島根県庁

 各社が不安と期待を胸に挑んだ「松江OKS(お菓子)プロジェクト」。完成した新しい菓子の売れ行きは各社の予想を上回った。

 福田屋(松江市矢田町)の「松江ふわり」は4月27日の発売と同時に欠品が生じるほどの人気ぶりだった。これまでの経験に基づき、発売開始後1週間向けに2千個を用意したが、発売日に予約分を含めて完売。追加生産を急きょ前倒しした。

 新型コロナウイルス禍の大型連休中、菓子全体の売り上げは伸び悩んだ。しかし工場では「松江ふわり」の生産が忙しく、同社の福田正義社長(66)は「伸び悩んでいた和菓子を補う以上の効果があった」と実感する。

 中浦食品(松江市東出雲町錦浜)も同様だった。「あんケーキサンド」の初回製造分千個が2週間もたたずに完売。すぐに原材料を補充し、急ピッチで増産している。宇佐美仁志統括部長(47)は「生産体制を安定させ、まずは地元でのリピート購入につなげる」と意気込む。

 発売直後の大型連休には観光客も土産物として購入。通販サイトの売れ行きも好調で、これまでに「ご縁をむすび」の贈答用セット約200個を発送した。主な注文先は島根県内で、発送先は都会地も目立つ。結婚式の引き出物としてのまとめ買いもある。

 県内中心の購入をさらに広げるには、県外への周知は必須条件だ。発売前日に試食した丸山達也島根県知事は「洋を取り入れつつ松江の雰囲気を濃縮したいいお菓子。島根に直接来られない人に買ってもらいたい」と呼び掛けた。松江市の上定昭仁市長も新しい菓子に舌鼓を打ち、「地元や県外にPRしたい」とトップセールスを誓った。

 好調な出だしに各社の期待は高まっている。

 風流堂(松江市矢田町)の内藤葉子社長(53)は「今までなじみがなかった層に和菓子の可能性が広がってほしい」と話す。同社は昨年、看板商品の「朝汐」の餡(あん)にコーヒーを練り込んだ新商品を開発し、今回の「五縁の味わいひとくち饅頭(まんじゅう)」にも並ぶ。今回のプロジェクトで注力したイチゴ味の開発に挑戦できたのは昨年の経験があったから。「今の生活習慣に浸透するため、これまで敬遠してきた洋との組み合わせは今後も取り入れていきたい」と意気込む。

 コロナ禍で伸び悩む菓子業界を元気づける「松江OKSプロジェクト」。誕生した新銘菓は、今後どれくらい浸透するのか。三英堂(松江市浜乃木1丁目)の岡英介総合企画室長(37)は「菓子は必需品ではなく嗜好(しこう)品。だからこそ、その特別な時間に選んでもらえる菓子屋になりたい」と前を向く。これまで和菓子に親しみがなかった世代も選ぶ菓子が、茶どころ松江に新しい風を吹かせようとしている。

 (この企画は文化生活部・増田枝里子、大迫由佳理、坂上晴香が担当しました)