小指を使って口紅を塗る生徒=松江市西浜佐陀町、島根県立盲学校
小指を使って口紅を塗る生徒=松江市西浜佐陀町、島根県立盲学校

 視覚障害者が、手のひらと指をスポンジやブラシ代わりに使ってメークする「ブラインドメイク」を学ぶ講座が、松江市西浜佐陀町の島根県立盲学校であり高等部の生徒4人が受講した。初めての化粧だという生徒もおり華やいだ雰囲気が広がった。

 

 ブラインドメイクは2010年、国際化粧療法協会(大阪市)の大石華法会長が考案。障害者はメークを諦めるか、身近な人に頼むケースが多く、自分でメークを楽しんでほしいとの思いから、確立したという。

 講座は、日本ケアメイク協会認定化粧訓練士、視能訓練士の井上恵子さん=神奈川県在住=がオンラインで指導。現地でFANCL松江店(松江市朝日町)の川本澄子店長が生徒をサポートした。

 まずは下地のファンデーション。リキッドタイプを手のひらに適量出して両手で温め、手のひら全体にのばす。頬の辺りからスタンプを押すように広げ、おでこと口元にも忘れずにつける。

 次にパウダーファンデーション。フェースブラシに含ませ、おでこの中心から顔の横に流す。このときブラシを動かすのではなく、ブラシはほぼ固定し、顔を左右に動かしながら塗る。続いて、おでこの中心から鼻筋まで下ろし、鼻脇からほうれい線に沿ってなぞる。

 口紅は、両手の小指をくっつけたまま、本を開くよう両手を開く。小指同士が接触している指先に口紅をつける。上唇の山の部分に指先を合わせ、ゆっくり両手を離し、口角の手前まで進め、戻す。

 チークは、人さし指から薬指まで3本をはけとして使う。親指をこめかみにつけ、肘は外側に張り、そろえた3本を頬骨から斜め35度にすっと引き上げるように塗る。

 井上さんは「これならできるかも、とメークを始めるきっかけになってくれたらうれしい」。2年の青木桃果さん(17)は「初めての化粧だった。口紅を唇にうまくのせるのが難しかった」とほほ笑んだ。 (坂上晴香)