鳥取市出身の漫画家・故谷口ジロー氏(作画)と組んで漫画「孤独のグルメ」を手掛けた原作者の久住昌之氏が、「孤独のグルメ山陰篇」と題してトークショーに臨み、谷口氏や食への思いを語った。
久住氏は、自身の食探しの指針として「地元の人が訪れるところに行きたい」と話し、トークショー前夜もグルメサイトの情報には頼らず、自分の足で松江の街を1万歩ぐらい歩いたと明かした。
「いつも食べていて、ごちそうではないが繰り返し食べに行ってしまう店に本当においしいものがあると思う」とした上で、土地の人が積極的に薦めることがないような店や食べ物に「宝物が隠されている」と説いた。
「孤独のグルメ」は、主人公・井之頭五郎がふらりと訪れた店で空腹を満たす作品で、フランスや中国など10カ国で翻訳出版されている。国境を越えて親しまれている理由を「谷口ジローさんが食事のシーンをおいしそうに描いたことで、言葉が通じない人にも響いたのだろう」と想像。近く英語にも翻訳される見通しを話した。
谷口氏が赤字覚悟で1日1コマのペースで丁寧に描いた姿勢は、ドラマ版「孤独のグルメ」にも受け継がれているという。主演の松重豊さんの食事シーンには6~7時間かけ、店選びも監督や脚本家、スタッフが食べ歩いて探し「みんな本気。若いスタッフが1シーズンで14キロ太ったこともある」と笑いを交えて語った。