1993年7月の東京サミットで、クリントン米大統領(左)とすし店で談笑する宮沢喜一首相
1993年7月の東京サミットで、クリントン米大統領(左)とすし店で談笑する宮沢喜一首相

 隣県・広島が舞台となる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の開幕まで3週間余り。広島市中心部では、他県から応援に駆け付けた制服姿の警察官が目立ち始めたという▼無理もない。各国首脳が参集するのに加え、先日は岸田文雄首相が衆院和歌山1区補欠選挙の街頭演説を始める直前、爆発物が投げ込まれる事態が起きた。広島選出の首相にとって、サミット本番での警備態勢は気が気でないだろう▼首相がもう一つ気がかりなのがサミット後の「政変」の有無ではないか。1979年以降、日本で開催されたサミットは計6回。このうち4回は同じ年に衆院解散・総選挙が行われ、当時の中曽根康弘首相が衆参同日選挙を狙い、いわゆる「死んだふり解散」に踏み切った86年以外は時の首相が敗れ、退陣に追い込まれている▼同じ広島選出で自民党派閥「宏池会」の先輩でもある宮沢喜一氏もその一人。首相時代の93年、自民分裂によって内閣不信任案が可決。宮沢氏は衆院を解散し、そのさなかに東京サミットが開かれたが、自民は過半数を取れず、首相の座を追われた。岸田首相にとっては気になるジンクスだろう▼内閣支持率の上昇傾向を受け、自民党内では早期の衆院解散論がささやかれているようだ。広島サミット開幕を前に、政局の行方を占う衆参5補選がきのう投開票された。さて結果を受け、首相の気持ちはどう振れるのか。(健)