19日に開幕した先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)。本紙からも記者3人を派遣し、取材を行っている。記者は現場での行動が制限されており、国際メディアセンター(広島県立総合体育館、広島市中区基町)を拠点に取材や原稿の出稿をする。センターでは、日本の各メディアだけでなく、海外メディアの記者も多く滞在。日本の企業や自治体が設置したブースもあり、自社の商品や技術を世界に発信しようと、記者に熱を入れて売り込んでいる。センターの一部を写真を交えて紹介する。

【速報動画】国際メディアセンターがオープン G7サミット取材拠点
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国際メディアセンターに入るには、まず厳重なセキュリティチェックがある。事前に入手した「取材者証」をゲートでかざして通った後には手荷物検査。空港での手荷物検査さながらのX線検査がある。飲料は危険物でないか確かめるために、係員の目の前で実際に一口飲んでみせる場合もある。センター内では警備ロボットも警戒する。
センターは地上1階、地下2階。入るとまず、広島県福山市で制作されたデニム生地のサミットバッグがもらえる。中には広島県庄原市の間伐材を活用したマイボトルや折り鶴再生紙を使ったメモ帳などが入り、多くの記者が手に提げて行動する姿が見られる。
地下1階部分の共用ワーキングスペースが多くの記者の拠点で、ここで打ち合わせや原稿配信に取り組む。日本メディアの記者が海外メディアの記者に取材するなど、サミットだけでなく、各国の記者がどのような見方で、首脳たちの議論を見つめているかも大きな関心事だ。滞在時間が長いため、ワーキングスペースには軽食や飲料が並び、24時間の利用が可能。カップラーメンや弁当、菓子などが陳列される。各国の関係者が記者に情報を伝えるためのプレスブリーフィングスペースもある。初日の19日には午後11時半すぎから、日本の外務報道官によるブリーフィングがあり、岸田文雄首相の発言や今後の予定などについて説明があった。

朝、昼、夜と決まった時間であれば、ダイニングで食事を楽しむことができる。ビュッフェ形式で、広島牛や地元野菜など地元産の素材を使った料理が並ぶ。このほかにも、お好み焼きやブランド牛「瀬戸のもち豚せと姫」をその場で調理して、提供してくれるコーナーもあり、海外の記者の目を引いている。

こうしたワーキングスペースだけでなく、メディアセンターでは全国から企業や団体が集い、メディアに向けて、自社の製品や技術をPRしている。山陰両県関係では、雲南市などで実証実験が行われた、荷物を輸送するためのドローン、電気小型トラック、エアバッグをアップサイクルした衣服などを複数のブースで展示していた。日本食PRコーナーでは、時間ごとに入れ替わり、ラーメンやおにぎりをはじめ、夜以降はビールやワイン、日本酒などのアルコール飲料もある。夜は仕事が終わった記者がビールを片手に談笑している。

今回は戦争被爆地・広島で初めてのサミット。全世界に訴え掛けるために、被爆の実相を伝える展示ブースもある。原爆投下時の8時15分で止まったままの時計のレプリカや衣服の一部を展示。被爆者の証言をまとめた冊子は英語やフランス語、ドイツ語も用意し、無料で配付している。核兵器のない世界への関心が高まるかどうかが注目されている。
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