島根県が、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた県内飲食業者に対し、給付金制度を創設する方針を固めた。売り上げが一定程度減少した事業者を対象に、1店舗当たり最大120万円を給付する。事業費は約33億円で、6月8日開会予定の定例県議会に提案する2021年度一般会計補正予算案に盛り込む。(原田准吏)
財源には、政府が飲食店など事業者支援向けに設けた地方創生臨時交付金29億5千万円を活用。丸山達也知事が2月、東京五輪聖火リレーの中止検討を引き合いに問題提起した感染拡大地域外への飲食店支援が県内で具体化する形となる。
関係者によると給付額は、事業規模に応じて1店舗当たり50万~120万円で、複数の店舗を持つ場合の上限は1事業者当たり200万円。
他業種も営んでいる場合は飲食業を含めた直近の決算期の総売上高が、前期か前々期と比べて下回ることが前提。その上で飲食業部分が同じく30%以上減少したか、感染拡大の第3波が到来した20年12月~21年3月の売上高が前期か前々期より50%以上減少したことが条件となる。
飲食業者への支援だけでなく、同補正予算案には売り上げが減少した中小企業を支える制度融資の拡充に約7億円を計上。20年度融資分の返済計画がコロナ禍の長期化に伴って見直せるよう、必要となる利息や保証料の支援約5億円も盛り込む。
補正予算案の総額は80億円台前半になる見通し。
飲食店支援を巡っては、丸山知事が2月以降、政府や地元選出国会議員に必要性を訴えた。同様の趣旨で34道県の知事や全国知事会も要請を重ね、政府は4月末に事業者向けの地方創生臨時交付金を創設。知事は「一定の成果が出た」との認識を示している。