5月30日は「530(ゴミゼロ)」の語呂合わせから、日本電機工業会(東京都)は「掃除機の日」と名付けている。中国四国地方は29日に梅雨入りし、今後蒸し暑さが増してエアコンが活躍する季節がやってくる。6月から中国電力の規制料金が上がり、節電しつつ快適さも保ちたいと考えている人も多いのではないか。鍵になるのがエアコン掃除だ。経済産業省のサイトによると、エアコンは夏季の家電製品で最も消費電力が高く34.2%を占める。掃除専門業者の「おそうじ本舗 松江学園店」(松江市学園2丁目)の山本薫代表(59)に掃除のポイントを聞いた。

家電製品別の電力消費割合。夏冬ともにエアコンが3割以上占める(経済産業省・省エネポータルサイトより)

 

なぜエアコン掃除は必要?


 まずなぜ、エアコン掃除が必要なのか。一般社団法人家庭電気文化会(東京都港区)によると、昔は冷房だけの「クーラー」が主流だったが、1960(昭和35)年に初めて冷房と暖房のどちらの機能も兼ね備えたエアコンが登場。昭和40年代に入ってから一般家庭に普及し始めた。エアコンに「臭いがする」「水漏れする」「効きが悪い」などトラブルはつきものだが、山本さんによると、暖房機能を兼ねるようになったことに一因があるという

 暖房は、冷たい空気を取り込み、フィルターの下にある「アルミフィン(熱交換器)」によって暖かい空気を出す。乾燥している冬場は、特に室内にほこりが舞いやすい。「服を着替えたり、布団を出し入れしたりするだけでも、ちりやほこりは舞ってしまう」(山本さん)。このため、取り込むときに同時にほこりも吸ってしまい、フィルターについたままになる。夏場を迎え、今度は冷房が稼働する。湿度が高い夏は空気中のほこりは少ないが、湿気を多く含んだ暑い空気を冷やす際に結露してしまう。結露はほこりにつき、カビ発生の原因に。この悪循環が繰り返される中でトラブルが発生してしまうようだ。

 「ほこりを掃除することは、トラブルを回避することにつながる」と山本さんは強調。エアコン掃除の必要性は理解できた。

エアコンの標準使用期間は「10年」。記者のアパートの備え付けは過ぎていたのだが・・・まだ正常に動作する

 

エアコン掃除は、2つの点で「節約」


 トラブルが回避できれば、エアコンの標準使用期間の「10年」を全うしやすく、業者に修復依頼するような急な出費をしないで済む。この点で節約になるが、肝心の電気代の抑制にエアコン掃除はどうつながるのか。

 山本さんによると、エアコンのフィルターにたまったほこりは、空気を取り込む際の障害になる。十分に空気を取り込めず、余計なパワーがかかって電力をより消費するため「フィルターの定期的な掃除をするだけで消費電力を抑えられる」という。経済産業省の省エネポータルサイトによると、フィルターが目詰まりしている場合と、清掃している場合のエアコン(2.2キロワット)の比較では、年間で31.95キロワット時の消費電力を減らすことができ、約990円の節約につながるそうだ。

 さらに、家電量販店「100満ボルト 松江本店」(松江市乃白町)によると「2週間に1回」の頻度で掃除をすると、全く掃除をしなかった場合よりも、消費電力は25%節電できると実証できたという。

エアコンのカバーを開け、フィルターを取り出した山本さん。ぱっと見はきれいだが、よく見るとほこりがついていた

 

フィルター掃除は「たった5分」


 メーカーは2週間に1回の掃除を薦めるが、なかなか時間が取れないという人も多いだろう。手間がかかりそうに考えてしまうが、山本さんは...