クロアチアを拠点とするセーリング・レーザー級合同チームが境港市で予定していた東京五輪の事前合宿が中止となったことを受け、地元関係者は残念がりつつ、セーリングに適した境港の環境を世界にアピールするため、交流継続へ気持ちを切り替えた。
チームは2019年に境港市の美保湾を舞台に開かれた「レーザー級世界選手権」などに合わせて境港で合宿。
選手が地元住民や中学生と交流を重ねてきただけに、伊達憲太郎市長は新型コロナウイルス感染防止を踏まえた判断を尊重しながらも「再会を心待ちにしていた市民が多いだけに残念」と落胆した。
7月上旬に予定されていた合宿の受け入れに向け、市と鳥取県セーリング連盟などは交流行事を中止する一方、感染防止対策をとり、練習できるようにするつもりでいた。
チームはキプロスなど5カ国の選手とコーチ計8人で構成。同連盟の善波周副会長(74)は「地元でセーリングをする高校生らが世界トップレベルの選手の練習を見れば、刺激になったはず」と惜しんだ。
境港が合宿地に選ばれたのは美保湾に適度な風が吹き、拠点となる境港公共マリーナの設備が充実していることが理由。
チームのヨゾ・ヤケリッチコーチも「完璧な会場だ」と太鼓判を押しており、NPO法人美保湾ヨットクラブの寺沢健治理事(73)は「海外チームとの交流を続け、境港がセーリングの聖地と世界に認めてもらえるようになることを願っている」と前を向いた。
(園慎太郎)