小学生以上の子どもを持つ島根県在住の親の約6割は、子どもの地元定住やUターンを勧めようと考えていない。県が2020年度に実施した県政世論調査で、こんな結果が出た。県内に仕事がないとの意識が主な理由に挙がり、魅力的な就職情報など移住促進のPRは若者だけでなく、その親世代へ向けて発信を強める必要がありそうだ。 (原田准吏)

子どもに島根定住を勧めようと考えているか?

 県の20年度のUターン者数は前年度比90人減の2144人と減少傾向が続き、コロナ禍でIターン者数が145人増えた中、課題になっている。

 このため、19年度調査では質問項目になかった親の意識を問い、小学生以上の子ども(県内在住の社会人は除く)がいる594人が回答。定住やUターンを「勧めようと考えていない」と答えたのは59・8%で、「勧めようと考えている」の35・7%を上回った。

 七つの地域別でみると、全地域で「考えていない」が50%以上となり、浜田66・7%、大田65・9%など県西部の高さが目立った。

 勧めようと考えていない理由を複数回答で訪ねたところ「県内に仕事がないから」が36・6%で最も高かった。年代別では60代の49・4%に次いで40代が39・7%に上った。定住やUターンを勧める意識に変えるための施策を聞くと「仕事情報の充実」が最高の39・2%だった。

 県しまね暮らし推進課の勝部考子課長は「思った以上に勧めようと考えていない人が多い。子どもだけでなく、親への働き掛けもしっかりやっていく」と強調した。

 県は20年度に高校生や大学生の保護者向けの情報発信に本腰を入れ、県内就職した若者たちが働く姿を紹介する冊子を2万5千部作成。21年度は冊子の配布などを進める。

 県政世論調査は20年11月、県内在住の18歳以上2千人を無作為に抽出し、実施。66・3%の1325人から回答を得た。