<さんいん特報班>一畑百貨店の思い出 屋上の観覧車が・・・ AsYouLikeの時代に
山陰両県は「空白県」の代表格だった。2021年12月、宅配ピザチェーンのドミノ・ピザが47都道府県の最後に島根県へ出店。料理宅配大手ウーバーイーツの島根、鳥取両県への進出は同年9月。徳島、福井と同着の全国最後だった▼「スタバはないけど、日本一のスナバ(砂場)はある」。平井伸治鳥取県知事が米系大手コーヒー店チェーンのスターバックスが県内にないことを自虐的に捉えて、鳥取砂丘をアピールしたのが13年。その2年後に、スタバが全国最後に鳥取へ出店した▼「空白県」は解消されるものだと思っていたが、そうではないようだ。島根県内で唯一の百貨店の一畑百貨店(松江市朝日町)が来年1月14日で閉店するという。百貨店ゼロの「空白県」は全国で山形、徳島に続き3県目となる▼大都市圏では今なお高い競争力を誇る百貨店ながら、地方では大型ショッピングセンターやインターネット通販に客を奪われ、厳しい経営が続く。隣県・広島でも天満屋が20年以降、2店を閉店した。百貨店が1店だけの県も多く、「空白県」は今後増えてしまいそうだ▼経済部で流通担当をしていた14年前、一畑百貨店は取材相手だった。「小売業の大切な仕事は地域を元気にすること」と話し、地元の特産品を売り込んでいた当時の中村勝輔社長(鳥取県北栄町出身)の姿を思い出す。百貨店がなくなっても、地域の元気はなくしたくない。(健)