24時間以上閉じ込められたとされる6人用の居室
24時間以上閉じ込められたとされる6人用の居室
大阪出入国在留管理局=大阪市
大阪出入国在留管理局=大阪市
24時間以上閉じ込められたとされる6人用の居室
大阪出入国在留管理局=大阪市

 大阪出入国在留管理局(大阪市住之江区)の施設で2018年、最大6人用の約20平方メートルの居室に収容者の男性17人が24時間以上、不当に閉じ込められ苦痛を受けたとして、うち4人が計約300万円の損害賠償を国に求めて大阪地裁に提訴したことが28日、関係者への取材で分かった。閉じ込められていた間には、最大震度6弱を観測した大阪府北部地震が起きたが、解放されなかったとしている。

 入管施設を巡っては今年3月、名古屋入管に収容中のスリランカ人女性が死亡し、入管難民法改正案の成立断念につながった。今回の訴訟で入管施設での処遇の在り方が改めて問われそうだ。

 大阪入管は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。18年当時は取材に「収容者が立てこもり、罵声を発したり扉をたたいたりしたため、秩序維持の観点で施錠した」と説明。翌朝には地震が起きたが施錠はしたままで「支障はないと判断し、職員の態勢が整ってから帰室させた」としていた。

 提訴したのは、正規の滞在期間を過ぎるなどして収容され20年5月までに仮放免されたナイジェリア、パキスタン、ペルー国籍の4人。

 訴状によると、17人は18年6月17日午前11時半ごろ、2段ベッド3台を備えた居室に集まって施設の医療体制の改善について議論していた際、帰室命令を拒んだとして外から施錠され、そのまま一夜を過ごした。18日朝の地震後も正午すぎまで解放されなかった。この間、電気は止められて空調は使えず、換気は不十分だった。水道はあったが飲用ではなく、飲料水は与えられなかったという。一連の対応は違法な公権力の行使に当たると主張している。

 取材に原告のパキスタン国籍の男性(51)は「囚人のような、ひどい扱いだった。入管は人権を尊重して対応を改めてほしい」と訴えた。原告側代理人の仲尾育哉弁護士も「懲罰的で、あり得ない」と批判している。