【米子】鳥取県日野町出身で、手の指や爪で水墨画を描く「指画(ゆびが)」の濱田珠鳳さん(1943~2021年)の遺作展が23日、米子市中町の市美術館で始まった。力強い筆致で描いた晩年の竜の絵といった約100点を飾り、来場者を魅了している。入場無料。7月4日まで。
指画は中国・唐時代からの伝統的な画法。水彩画家だった濱田さんは50代で中国に留学し、指画を習得した。晩年の「雲龍双幅図」(21年)は双幅の掛け軸に、火と渦巻く雲をまとって飛ぶ竜を1匹ずつ迫真のタッチで描いている。
「八方睨(にら)み」(06年)は月夜の草原でうずくまる虎の毛並みをこまやかに表現。亡くなる1カ月ほど前に制作したザクロとクリの絵も展示されている。
米子市東山町の田村鈴代さん(86)は「指でこれほど繊細で迫力ある絵を描けるなんて、すごいとしか言いようがない」と感嘆していた。
午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)、水曜休館。(佐貫公哉)