アルバム「TOTOⅣ~聖なる剣」
アルバム「TOTOⅣ~聖なる剣」

 1980年代はハードロック/ヘビ-メタル(HR/HM)とアダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)という対照的なロックが同時に盛り上がった。HR/HMが「悪ガキのロック」とすればAORは「洗練された大人のロック」。AORは廃れたが、代表格のバンド、TOTO(トト)は今聴いても色あせていない。

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 ヒット曲「アフリカ」(1982年のアルバム「TOTO4~聖なる剣」に収録)はドラムのループに続き、ブラス&マリンバ風のシンセサイザーが広がりアフリカの大地を思わせる。同じアルバムの「ロザーナ」はリズミカルな歌い方がいい。シンセやギターのソロも聴きどころ。

 実は聴き始めたのは大学時代の90年代前半。SF研究会というサークルで出会った友人の影響だ。自分と反対に、スポーツマンで、おしゃれで、爽やかな人物で、なぜこのサークルに来たのか不思議だが、ウマが合った。HR/HMに慣れた耳にTOTOは軟弱にも思えたが、親しみやすいメロディーが気に入った。

 超絶技巧がさりげなく忍ばせてあり、ジャズ、ブルースなど引き出しが多彩なことは後に知った。人はいろんな顔を秘め、一見しただけでは分からない。この友人とともにTOTOは記憶に刻まれる。(志)

 ◆Sデジにロングバージョンを掲載
 → https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/411518