キャンプの「型」で近年主流なのが、癒やしと共に快適さを求めたグランピングと、普段使いの車の内装を工夫して移動と宿泊を一体化させた車中泊の2種類だろう。山陰両県でもグランピング専用施設や、道の駅で車中泊を可能にする「RVパーク」などが充実してきた▼キャンプは「無銭旅行者」の手段、といわれたのはとうの昔の話。現代はグランピングではなくても、電源、水回りなど、それなりの施設を利用すれば、ビジネスホテルに宿泊するのと大差はない▼とはいえ、何とか旅を安く済まそうとする人たちがいるのは世の常。駐車場では、前後の窓をカーテンなどで覆う車中泊とおぼしき車も度々見かける▼適切な場所に車を止めて車内だけで過ごすなら、一時的な休憩と見分けはつきにくい。だが、島根半島の道路沿いで車を止めてバーベキューをしている人を見て閉口した、という話を地元の自治会長から聞いた。これでは「観光公害」として問題視される日も遠くなさそう。山陰の山間地や海岸は車を止めても人目につかないと思っても、そこに住む人は敏感で、違和感を持つ▼キャンプはコロナ禍での余暇の過ごし方としても注目された。全国では廃校のリフォームなど受け入れのアイデアが実践されている。こうした地方創生の動きを妨げないためにも、「ごみだけ残して去った」と地元住民に後ろ指をさされる行為は慎みたい。(万)