今年3月、女子サッカーの国際試合で9万人余りの観衆を集めたニュースが配信されて驚いた。舞台となったスペイン・バルセロナのカンプノウスタジアムは世界のサッカーファンの憧れの地。英国・ロンドンのウエンブリー、ブラジル・リオデジャネイロのマラカナンの両スタジアムと並び「聖地」と言っていい▼男子に体格は及ばないものの、ピッチの広さやゴールの大きさは同じ。パスやシュートで空間をうまく使えば得点のチャンスが生まれやすく、男子の試合とは違った観戦の面白さがある▼〝カンプノウの快挙〟に国際サッカー連盟が自信を深めたのか、きょう開幕する4年に1度の女子ワールドカップ(W杯)は、男子に比べて安かった放映権料が急騰。日本で放映されないのか、と気をやきもきさせたが、さすがに公共放送のNHKが日本戦を中心に獲得した▼女子日本代表「なでしこジャパン」の2011年W杯優勝、12年ロンドン五輪銀メダルを受け、13年度は3万人余りに増えた日本サッカー協会の女子選手登録者数は頭打ち状態。世界一から10年以上遠ざかったが、W杯開催年は改めて注目されるまたとない機会だ▼なでしこジャパンは予選リーグ第3戦でスペイン代表の愛称で赤色の意味を持つ「ラ・ロハ」と激突。女子の試合でも大観衆を呼べる憧れの国に昨年の男子に続き勝利すれば、日本のスタジアムの雰囲気も変わる。(万)