初回公演のエンディングで観客の声援に応える出演者=17日、松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地特設大テント
初回公演のエンディングで観客の声援に応える出演者=17日、松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地特設大テント

 梅雨明け前後のこの時季になると、思い出す歌がある。昨年末で音楽活動の一線から退いた吉田拓郎さん(77)の『夏休み』。代表曲として有名な『旅の宿』や『落陽』は米子市出身の岡本おさみさん(1942~2015年)の作詞だが、『夏休み』は拓郎さん自身の作詞作曲だ▼<西瓜(すいか)を食べてた 夏休み/水まきしたっけ 夏休み/ひまわり 夕立 せみの声>。歌詞はこう締められる。夏休みの何げない光景を歌詞にしたようだが、作品が発表された1970年代は反体制や反権威がフォークソングに求められていた時代。夏休みといえば8月。しかも広島育ちの拓郎さんだけに、反戦の意味が込められているのではと、うわさが広がった▼ところが、本人は4年前、自らのホームページでこう否定していた。「『夏休み』という曲は反戦歌などでは『断じて!ない!』。ただひたすらに子供だった時代の懐かしい夏の風景を描いた絵日記なのである」▼手前みそで恐縮だが、新聞社などが主催するポップサーカス松江公演が開幕。初日に足を運んだ。印象に残ったのが、数々の妙技に驚き「ブラボー」と叫ぶ子どもたちの笑顔だった▼山陰両県の小中学校もそろそろ夏休みに入る。コロナの第9波は心配だが、マスクの着用も自由になって、解放感漂う夏休み。≪サーカス見たっけ 夏休み≫。いつまでも心の風景に残る夏の絵日記を描いてほしい。(健)