倉吉市で1961年を最後に途絶えた大綱引き「じんしょ」が8月上旬に復活する。両軍合わせて60人以上が綱を引き合う勇壮な行事。倉吉市制開始70周年の記念事業で行い、関係者は62年前のようなにぎわい創出へ、半ば手探り状態で準備を進める。
8月5、6日に倉吉市で開かれる「倉吉打吹まつり」の初日の目玉イベントとして、官民でつくる祭りの実行委員会が執り行う。
鳥取県内では三朝町で毎年行われる大綱引きが「三朝のジンショ」として国の重要無形民俗文化財に登録され、伝統行事として知られる一方、倉吉市のじんしょは史料に乏しい。江戸時代に始まったと伝わっているものの大正~昭和期で計3回行われたとの記録が残るのみ。途絶えた理由も不明という。
1941年に発行された「倉吉町誌」や73年の「倉吉市史」などによると、倉吉のじんしょは5月の端午の節句の行事として菖蒲(しょうぶ)綱、菖蒲引きとも呼ばれていた。綱は藤カズラにショウブの葉をよって編んだ2本を結合して長さを2倍にし、両軍で引き合って勝敗を決する。
今回のじんしょは61年の前回を踏襲し、祭り会場の倉吉銀座通りと打吹公園通りが交わる明治交差点(倉吉市明治町)を中心に東西に分かれて綱引きする。
2本の綱は計2トンのカズラを用い、結合すると長さが約40メートルとなる。実行委メンバーは5月にあった三朝町のジンショに参加して綱の編み方を学び、綱引き当日も三朝町民の指導を受けながら編み上げるという。
日程は5日午前8時に倉吉市明治町2丁目の彫刻プロムナードひろばで綱網み始め、完成させた2本とともに明治交差点に移動。綱同士の結合がうまくいくかどうかも見どころで、会場を盛り上げた後、午後6時に綱引き本番となる。
実行委は綱編み、綱引きとも60人程度の参加を想定するが、飛び入り参加も歓迎という。実行委員会事務局で、倉吉市地域づくり支援課の金光智志さん(33)は「多くの人にじんしょを知ってもらい、地域の活力につなげたい」と成功に向け意気込んだ。 (吉金亮太)