県境をまたいだ新型コロナウイルスワクチン接種を計画する鳥取県東部と兵庫県北西部の7市町が1日、共同実施に関する協定を結んだ。住んでいる市町以外の医療機関で接種する場合に必要な届け出が不要となり、同日運用を始めた。
7市町は鳥取県の鳥取市と岩美、若桜、智頭、八頭の4町と、兵庫県の新温泉と香美の2町。個別接種が対象で、協力医療機関は1日時点で63機関あり、うち44機関は鳥取市内にある。
通勤や通院で生活圏が重なることや、町の医療従事者の少なさを踏まえ、圏域での共同接種が効率的だとして調整を進めていた。
ワクチンは住民票がある市町村で接種するのが原則。別で打つ場合は「住所地外接種届」を希望する自治体に提出し、許可を受ける必要があるが、手続きを不要にした。
鳥取市によると、県境を越えた共同実施は全国的に珍しいという。
1日は同市幸町の市役所で7市町の首長が協定を締結。香美町の浜上勇人町長は「予約率の向上に期待したい」と述べ、深沢義彦市長は「集団免疫を獲得し、収束につながることを願う」と話した。
鳥取県によると、ワクチンは国から都道府県に人口に応じて分配。県境をまたいだ接種の影響で、県が人口以上のワクチンを国に要求しても問題ないとの回答を厚生労働省から得ているという。 (岸本久瑠人)