■永徳寺坂 郷里の町に「永徳寺坂」という地名がある。名前の由縁をつい最近知った。故郷を離れて半世紀以上がたつ。永徳寺は尼子氏の祈願所として栄えた大寺院で、今も出雲市斐川町にある古刹(こさつ)だが、戦国時代に毛利氏との戦いで衰運した折に、ご本尊を出雲大社の地へ移して庵を建てて護(まも)ったのだという。「永徳寺坂」はその庵があった場所というわけだ。地名にはみないわれがある。いとおしささえ募る。永徳寺坂のあたりは...