サーカスを彩るパフォーマーのきらびやかな衣装。実は多くが手作りという。テント裏のコンテナハウスで一心不乱にミシンを操り、衣装作りや修繕に汗をかくのが、衣装係の大嶋恵依さん(22)だ。
栃木県塩谷町出身。東京都内の服飾専門学校を卒業し、昨春に入社。課題でサーカスをテーマに衣装を作った経験から「舞台衣装を作りたい」と門をたたいた。実はそれまでサーカスをしっかり見たことがなく、全国を行脚することも知らなかった。今は「特殊だけど楽しい」と仕事の魅力にどっぷりとはまっている。
初めて自分で作ったのは、デスホイールに出演するダルリンさんとルベンさんの衣装。観客に緊張感を衣装からも感じてほしいと赤を基調にし、鎖の模様を施した。2人の熱演を見て「さっきまで手元にあった衣装が舞台上で輝いていた」と強くやりがいを感じた。
衣装は、動きやすく光に反射する素材を使い、パフォーマーの意見を取り入れながら丁寧に作り上げる。激しい動きで破れることも多く、公演中は絶えず忙しい。100着以上をクリーニングに持って行くこともある。
世界各国のパフォーマーから、片言の日本語で「メッチャサイコー」と言われると心が躍る。「衣装でもっといい演技ができるようにしたい」と意気込み、松江公演でも、最高のパフォーマンスを支えている。(林李奈)
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松江市学園南1丁目の旧島根県立プール跡地広場特設大テントで開催中のポップサーカス松江公演。華やかなステージを裏方で支える人にスポットを当て、舞台裏の様子を伝える。