「難聴」という障がいを隠さず、むしろ“個性の一つ”として発信しているインフルエンサーがいる。松江市出身の「難聴うさぎ」さん(東京都在住)は、TikTokやYouTubeなどSNS総フォロワー数が55万人超え。動画を通じて、いろんな障がいを持つ同世代とも交流しながら発信を続け、4月には半生を記録したエッセーも出版した。どんな思いで活動しているのか。本人を取材した。
(Sデジ編集部・鹿島波子)
▽自然と身に付いた「読唇術」
生まれながらに聴覚に障がいを持つ聴覚うさぎさん。右耳は95デシベル、左耳は102デシベルで「先天性の聴覚障害3級・感音性難聴」の診断を受けている。90デシベルが「うるさくて我慢できない」(怒鳴り声やカラオケ)程度、100デジベルが「聴覚機能に異常をきたす」(電車が通る時のガード下)程度の大きな音で、両耳ともこれらがやっと聞こえるレベル。補聴器を外すとほとんど聞こえないという。聞こえ方の程度は、①重度②高度③中等度④軽度の中で一番重い「重度」。「感音性難聴」という、音を信号として伝える内耳や聴神経に障がいがあるとされる。

2、3歳頃から着けているという補聴器。付ければ、音量としては健常者と同じくらいだが、周囲の音が全て「雑音」のような形で入ってくる。このため、口元を見なければ「記号のように聞こえる」と説明する。両親含めて周りの家族全員が健常者。3歳から通ったろう学校の幼稚部で発音の練習する一方、家族の会話を口元で判断する訓練を日常的に行い、自然と「読唇術」が身に付いたという。
ただし、テレビのように2次元(平面)の映像になると...