高波や沿岸流による浸食が激しい弓ケ浜半島(米子市-境港市)の砂浜を維持するため国土交通省などが取り組む「サンドリサイクル」事業が、1994年の開始から間もなく30年を迎える。波を抑えて浸食を防ぐ離岸堤の整備が未完了で、潮の流れでさらわれる大量の砂を大型車両で運び、元の浜に戻す「対症療法」が続く。(井上誉文)

 大正時代に始まったとされる弓ケ浜半島の砂浜の浸食。日野川上流域で営まれた古来の製鉄法「たたら」の衰退で「かんな流し」が絶え、流れに乗って供給される砂が激減。一方で、高波や潮の流れにより砂浜は削られ、皆生温泉(米子市)付近の海岸線は大正末期と比べて約300メートル後退したという。

 温泉旅館が浸水する深刻な被害もあり、旧建設省が1960年、一帯の海岸を全国初の直轄工事区域に指定し、...