アルバム「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」
アルバム「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」

 朝、取材先に車を走らせる時によく聴く曲はジャズピアノ奏者ホレス・シルバーの「ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ」(1959年の同名アルバムに収録)。疾走感あふれる爽快な曲で、眠気が吹き飛び、元気が出る。ホーンが威勢よく鳴り響き、ピアノソロは軽やかで弾むようだ。

 シルバーは作曲センス抜群で、乗りがよく親しみやすいメロディーをつむぐ。前半はホーンで聴かせ、中盤以降にピアノソロという構成も印象的だ。ピアノ奏者なのに、トランペットやサックスの持ち味をしっかりと引き出す曲を作るのが興味深い。逆に、ピアノ、ベース、ドラムのトリオ演奏の曲は物足りない。

 なぜ、シルバーの曲はホーンが入ると生き生きし、親しみやすいのか。代表曲をカバーしたジャズ歌手ディー・ディー・ブリッジウオーターのアルバム「ラブ&ピース~トリビュート・トゥ・ホレス・シルバー」(95年)を聴くと気づく。

 シルバーの曲は歌が合うのだ。ディー・ディーはパラッパー、パパパパ…のようにホーンに似せたスキャットも交え、これが絶妙。もともとシルバーは歌のように作曲し、ホーンに歌わせていたのかと想像する。シルバーはゲスト参加する上、作詞も手がけており、たぶん間違いないと思う。            (志)

 =Sデジにロングバージョン=
 → https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/442468