土屋主税を演じる中村鴈治郎さん(左から3人目)=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ
土屋主税を演じる中村鴈治郎さん(左から3人目)=益田市有明町、島根県芸術文化センター・グラントワ

 【益田】松竹大歌舞伎公演が10日、益田市有明町の島根県芸術文化センター・グラントワであった。中村鴈治郎(がんじろう)さん、中村亀鶴(きかく)さんらによる忠臣蔵の外伝物と長唄の舞踊の2演目で、情緒あふれる演技と舞が、約450人を魅了した。

 忠臣蔵外伝の「玩辞楼(がんじろう)十二曲の内 土屋主税」は、俳諧を織り交ぜる演出で赤穂浪士の討ち入りを待ち望む旗本の主税の心情を描いた作品。主税役の鴈治郎さんは、赤穂浪士の一人が言い残した付け句に隠された真意に気付いたり、討ち入りを知って喜んだりする場面を情緒豊かに演じた。

 女形の舞踊として屈指の人気曲「汐汲(しおくみ)」に乗せた、会えない恋人を思う海女と、海女に思いを寄せる漁師による次の演目では、漁師役の亀鶴さんが、めりはりが利いた所作で切ない心情を表現し、観客を引き込んだ。

 初めて歌舞伎を見た益田小学校3年の中島衣咲さん(9)は「力強くて、迫力があってすごかった。また見に来たい」と話した。

 5月に耐震改修工事を終えて再オープンしたグラントワの記念企画で、県やしまね文化振興財団などが主催した。(藤本ちあき)