ワンマンライブで観客を沸かすSKRYUさん=松江市寺町、松江B1(矢田光さん撮影)
ワンマンライブで観客を沸かすSKRYUさん=松江市寺町、松江B1(矢田光さん撮影)

 安来市出身のラッパー、SKRYU(スクリュー)さん(27)が、日本のヒップホップ界で存在感を示している。今年発表した楽曲が話題を集め、ミュージックビデオ(MV)の再生回数は700万回を超えた。今夏、フルアルバムのリリースや地元でのワンマンライブ開催など精力的に活動を続け、さらなる高みを目指す。

 

 本名植田敬助さん。松江工業高校在学中に「高校生ラップ選手権」を見てラップ興味を持った。愛媛大に進学し、本格的にラップを始めた。ラップで生活することも考えていたが、大学卒業後は帰郷して山陰合同銀行に就職した。

 入行して間もなく、全国有数のMCバトル「戦極MCBATTLE」の本戦につながる大会で優勝。楽曲制作にも精力的に取り組み、1年で退職して上京した。独特のワードセンスとリズミカルな抑揚を武器に、2021年春の戦極MCBATTLEで初めて栄冠を手にした。

 今、SNSで話題を呼ぶ楽曲「How Many Boogie(ハウメニーブギー)」は、プロデューサー・WAZGOGG(ワズゴッグ)さん、ラッパー・Fuma no KTR(フウマノコタロウ)さんと共に制作。中毒性のあるビートとユーモアのある歌詞が魅力の楽曲だ。

 5月にMVを動画サイト・ユーチューブに投稿すると、再生回数は9月15日時点で740万回に達し、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」には若者が曲に合わせてダンスする動画が投稿されるようになった。スクリューさんは「意味合いは深く考えず、どれだけふざけられるか、という勢いで書いた」と語る。

 今夏、初のフルアルバム「Transform(トランスフォーム)」を配信リリース。内面を表した曲を盛り込む「Charcoal side」と、スクリューさんらしさあふれる小気味良い楽曲を中心にした「Diamond side」の2部構成で、今の魅力や生き方を示す作品に仕上がった。

 アルバムを引っ提げ、8月下旬に初の島根公演を松江B1(松江市寺町)で開いた。県内外のファン約300人が集まり、銀行員時代に制作した代表曲「Mountain View(マウンテンビュー)」など20曲以上を披露した。

 「覚悟を持ち、地元を飛び出してまでも選びたかったこのヒップホップで戻ってこられたことがうれしかった」。ライブ中、想像していた以上の光景が目の前に広がり、感極まった。

 これからも曲を作り、ライブを開く日々を積み重ね、ラッパーとしての腕を磨いていく。スクリューさんは「まだまだ大きな姿を皆さんに見せられるように精進していくので、応援してほしい」と呼びかける。
  (吉田真人)