故青木幹雄氏のお別れの会で弔辞を読む細田博之衆院議長=7月9日、出雲市大社町
故青木幹雄氏のお別れの会で弔辞を読む細田博之衆院議長=7月9日、出雲市大社町

 渦中の人物の訃報にこんなにも早く接するとは思いもしなかった。体調不良を理由に衆院議長を辞任したばかりの細田博之衆院議員(島根1区)が、79歳で亡くなった。辞任理由を説明した先月13日の記者会見で「多少よたよたしているが、国会議員としての活動はできる」と、次期衆院選出馬へ意欲を見せていた。

 ただ、地元有権者の視線は厳しかった。先週、本紙オピニオン面に掲載した「こだまフォーラム」には、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係や週刊誌が報じたセクハラ疑惑への曖昧な説明に対する厳しい意見が読者から寄せられた。出馬容認の声は皆無だった。

 一方で「島根の雄」「地元出身の衆院議長として誇らしく思っていた」など、これまでの活動を賛美する意見も多かった。そのうちの一部を再掲する。

 <長年のキャリアと高い見識で、今、町おこしに本気で取り組んでいる小さな市町村の手助けを。それにはまず健康、そしてゆとりある笑顔で。そんな細田さんに期待したいし、応援したい>

 議員引退後の地元支援を求めた願いは届かず、再び笑顔を見せることなく細田氏が逝った。2019年の島田三郎参院議員(島根選挙区)、21年の竹下亘衆院議員(島根2区)に続く現職での死去。今年6月には元自民党参院議員会長の青木幹雄氏(出雲市大社町出身)が89歳で旅立った。島根の政界は大きな変化を突き付けられている。(健)