秋の夜、空気が澄んだ空に星が美しくきらめく。11月は、おうし座流星群、しし座流星群の時期。出現する流れ星の数は多くないものの、おうし座流星群では、ひときわ明るい火球を見られる可能性があるという▼以前、夏に島根県西部の山あいで、三大流星群の一つ、ペルセウス座流星群の撮影を試みたことがある。夜空にレンズを向け、長時間露光を繰り返す。目では流れ星がいくつも見えたものの、画像を確認するとレンズを構えた範囲の外だったようで、運のなさを嘆いた▼肝心な流れ星を捉えきれない一方、写真には別のものが写っていた。人工衛星と思われる細く白い筋、航空機の灯火の光跡。真夜中、意外に多く飛んでいた▼夢が広がる宇宙では、ごみ問題が深刻になっているという。スペースデブリとも呼ばれ、打ち上げ後のロケットの部品や役目を終えた人工衛星など。宇宙開発に伴って増え、10センチ以上のものが約2万5千個、1ミリ以上だと1億個超と推定される。宇宙ステーションや人工衛星への影響が懸念され、除去の研究も行われているが、気が遠くなるような話だ▼人間は、暮らしている陸地だけでなく、海洋や宇宙にまでごみ問題を広げてしまった。何かにつけて開発優先、「今が良ければ」で、生じる課題への対応が後回しになっていないだろうか。解決の努力をしながらの発展でなければ、後世に負の遺産が増えるばかりだ。(彦)