紅葉で色づいた山あいとともに奥出雲おろち号のラストランを撮影する鉄道ファン=島根県奥出雲町八川
紅葉で色づいた山あいとともに奥出雲おろち号のラストランを撮影する鉄道ファン=島根県奥出雲町八川
奥出雲おろち号を見送るナーテルこと南波由美子さんや住民たち=雲南市大東町飯田、JR出雲大東駅
奥出雲おろち号を見送るナーテルこと南波由美子さんや住民たち=雲南市大東町飯田、JR出雲大東駅
紅葉で色づいた山あいとともに奥出雲おろち号のラストランを撮影する鉄道ファン=島根県奥出雲町八川
奥出雲おろち号を見送るナーテルこと南波由美子さんや住民たち=雲南市大東町飯田、JR出雲大東駅

 JR木次線を26年間走り続けてきたトロッコ列車・奥出雲おろち号が23日、運行を終えた。ホームや線路沿いでは、横断幕や旗を手にした住民がラストランを見守り、何度も「ありがとう」と声が飛んだ。

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写真特集】ありがとう!奥出雲おろち号 多くの人に見送られ最終運行

 始発の出雲市駅(出雲市駅北町)では、午前8時45分の出発を前に、カメラを携えた多くの鉄道ファンや家族連れが姿を見せた。

 同僚3人と堺市から訪れた、会社員石川裕人さん(25)は5年前に初めて乗り、沿線の風景に引かれてファンになった。「忘れられない1日になるようにたくさん写真を撮りたい」と話し、乗り込んだ。

 出雲大東駅(雲南市大東町飯田)では、駅を指定管理する市民団体代表の南波由美子さん(48)が、列車で星々を巡るSF漫画の登場人物をイメージしたキャラクター「ナーテル」姿で登場。約150人の住民と一緒に出迎え「楽しい思い出をたくさんありがとう」と手を振った。木次駅(同市木次町里方)の出発時には、雲南吹奏楽団12人がゴダイゴの「銀河鉄道999」のメロディーで送り出した。

 子どもたちがおろち号のかぶり物で出迎えたのは出雲八代駅(島根県奥出雲町馬馳)。オリジナル曲に合わせてダンスを披露し、乗客を楽しませた。布勢小学校6年の内田冬馬君(11)「最後まで頑張れ」とあいさつして、乗客から歓声を浴びた。

 青と白を基調とした車両は紅葉で色づいた山々を縫うように走り、多くの鉄道ファンが最後の勇姿をカメラに収めた。午後1時前に折り返しの備後落合駅(広島県庄原市)に到着。三重県名張市の橋本直紀さん(27)は「最後の便に乗ることができて感無量。沿線の皆さんに愛されている列車だと感じた」と笑顔で話した。

 終点の木次駅のホームにゆっくりと列車が入ってくると、見守った約700人から拍手が起きた。子ども2人と乗車した広島県福山市の会社員の男性(45)は「おろち号がなくなっても、美しい風景や沿線の人たちの思いは続いていくと思う」と話し、名残を惜しんだ。

 乗務したJR西日本木次鉄道部の藤原卓司車掌(37)は「天気も良く、乗客の皆さんも風景を楽しんだと思う。無事に運行を終えた安堵(あんど)感と、終わってしまうさみしさを感じる」としんみり。藤原浩二運転士(39)は「これまで安全につないでくれた仲間や沿線の皆さんの思いを感じながら運転した。木次線はまだまだ走り続けないといけないと思った」と決意を新たにしていた。
  (取材班)