障害や病気でうまく話せない人と意思疎通する手法「指筆談(ゆびひつだん)」の講座が26日、安来市亀島町のさんそ学習館ケイオスであった。普及を図る市民グループ「テンダーハート昭島」代表の守本早智子さん(65)=東京都昭島市=が、指筆談を身に付けたきっかけや実践の心得を説き、参加者約30人が体験した。
指筆談は、介助者が相手の指を手に取って自分の指の腹や手のひらに当て「○(はい)」「/(いいえ)」、平仮名などを書くかすかな指の動きを読み取る。「指談(ゆびだん)」とも呼ぶ。
守本さんは、息子が重度の脳症を患って話せなくなり、2010年に20歳の若さで亡くなった。「息子の気持ちを知りたい。もう一度『お母さん』と呼んでほしい」と思い、さまざまなコミュニケーション手段を試したが、うまくいかず、指筆談を知ったのは息子が亡くなった後だった。「この手法で救われる人もあるはずだ」と普及に励む。
「気持ちが伝わると、その人は孤独ではなくなる」と意思疎通の意義を説き、「選択しやすく質問する」「必ず確認する」といった心得を解説した。
講座は、米子市を拠点に活動する「指談の会ゆびさき」(天野依子代表)が主催した。
(桝井映志)