宍道湖のヤマトシジミの資源量が2023年10月時点で、4万6652トン(598億個)と推定され、過去3番目に多かった前年同期に比べて35%減だった。調査した島根県は、猛暑による湖底の貧酸素化が影響していると分析。漁獲対象となる殻の長さ17ミリ以上の資源量は比較的高い水準だが、17ミリ未満の小型成貝や未成貝が低迷しており、中長期的な動向は楽観視できない状況となっている。
資源量のうち、17ミリ以上のサイズは2万9154トン(96億個)で、02年以降の秋調査で5番目に多く、平均値の約1・5倍となる一方、前年同期から37%減った。12ミリ以上17ミリ未満の小型成貝は前年同期比29%減の1万1875トン(133億個)、12ミリ未満の未成貝は同37%減の5624トン(368億個)だった。
減少した原因について、島根県水産技術センターは昨夏の猛暑で温められた水が上面にとどまって湖水が循環せず、湖底への酸素供給が滞り、シジミの生息を脅かす「貧酸素化」が影響していると推測する。
気象庁によると、23年の松江の平均気温は7月27・5度(1991~2020年の平均25・8度)▽8月29・4度(同27・1度)▽9月25・2度(同22・9度)-となった。国土交通省出雲河川事務所が宍道湖で毎月調査する湖水に含まれる酸素量は、8月は上層下層ともに「やや低い」、9月は上層が「平年並み」、下層が「やや低い」だった。
県水産技術センター内水面科の松本洋典科長は「小型のシジミが減り、近年の”貯金”を食いつぶしている状況。先行きは読めないが、中長期的に資源量が減る懸念は拭えない」と話した。
宍道湖漁業協同組合の渡部和夫組合長は「経験上、シジミは安定して採れており、そこまでの危機感はない」と説明。17ミリ未満を採らないルールや、1992年から続ける採苗活動によって安定した資源量を維持する考えを示した。
調査は県が春と秋に実施。2023年10月5、10、11日の3日間、計126カ所で湖底の砂や泥と一緒にヤマトシジミを採集し、宍道湖全体の資源量を試算した。
(高見維吹)