絵・くさなり
絵・くさなり

 体と心の性が一致しない「性同一性障害」の診療に取り組んでいる岡山大の中塚幹也教授は「性同一性障害を含めた『性的少数者』は、国内に約13人に1人の割合でいる」としています。中塚教授によると、これは「左利きの人」とか「血液型がAB型の人」と同じ程度の割合。そう考えると、身近にもいることが理解できると思います。ですが、「性的少数者への理解はまだ不十分」と中塚教授は言います。

 岡山大病院ジェンダークリニックの受診者1167人に実施したアンケートでは、約9割が「中学生までに体の性別に違和感を抱いている」ということが分かっていて、「体の悩みや、周囲の無理解によりいじめを受けたことなどから、小学生や中学生で自殺を考えた」と答えた当事者も多かったそうです。(出典・中塚幹也著『封じ込められた子ども、その心を聴く―性同一性障害の生徒に向き合う』)

 私も、当事者の大学生から話を聞くことがありますが、小中学校時代に「女の子(男の子)らしくしなさい」とか、「オカマ」と言われて傷ついた経験がある人は多いです。まずはわが子に「何があっても、あなたの味方だよ」という姿勢を示しましょう。そして保護者である大人も、多様な性について学ぶことが重要です。

 もしもわが子が「性について悩んでいる」と打ち明けてくれたら、必ず「話してくれてありがとう」と言いましょう。そして、困っていることの解決方法を一緒に考えましょう。

 当事者はトイレや着替え、宿泊の部屋、名前、制服、第二次性徴などで悩んでいることが多いです。学校でも、本人の希望に合わせて対応してくれますから、養護教諭やスクールカウンセラー、思春期外来の専門医に相談してみることをお勧めします。

 男らしさ、女らしさといった概念は、長い時間をかけてつくられた文化、しきたりともいえます。残念ながら日本は、男女格差のランキング「ジェンダーギャップ指数」が156カ国中120位(2021年)で、先進国の中では最下位です。私たち自身も「物事をリードするのは男性の仕事」「女性は一歩引いていた方が好かれる」など、無意識のうちに男らしさや女らしさといった「決めつけ」や「固定観念」があるかもしれません。わが子に声掛けする前に、あらためて自身が性やジェンダーに縛られていないか、考えてみる必要があります。

 (島根大保健管理センター教授)

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 子どもに伝える「性」について、河野先生に質問してみませんか? メールはkurashi@sanin―chuo.co.jp。