神々への「もう一つの捧(ささ)げもの」として舞い奏でられる神楽。

 前回、その語義や起源神話について述べた。今回は、『古語拾遺(こごしゅうい)』の神話「天の石窟戸(いわやと)開き」に着目し、神楽の原風景をさらに考えてみる。

 『古語拾遺』は、平安時代前期(西暦807年)、斎部広成(いんべひろなり)によって編まれた。朝廷の祭祀(さいし)を担当した氏族、斎部氏の家伝である。

 該当部分の記述を抜粋した(別掲参照)。意訳してみよ...