「限られた人数で運行をやりくりし、日々綱渡り状態だ」。中国山地に囲まれた島根県吉賀、津和野両町で五つの路線を運行するバス事業者、六日市交通(吉賀町立河内)の村上智孝社長が打ち明けた。

 8人の運転手が働くが、本来必要な人数より常時2人程度足りず、村上社長自らが週5日ほどハンドルを握る。「一人でも辞めると路線を維持できない」という瀬戸際の状況が続く。

 賃上げや休日取得の促進に取り組むが、採用難は解消しない。人口減少で2020年度に3万3千人だった利用者数は22年度は1割減の3万人になるなど、「厳しい経営環境下で、運転手志願者が増えるとは考えにくい」。中山間地域の高齢者たちの大切な移動手段だけに危機感が募る。

▼相次ぐ減便や廃止

 人口が集積する都市部、...