松江市のJR松江駅前に位置する一畑百貨店が閉店してから間もなく1カ月。6階建ての店舗建物は残っているものの、人の出入りや催事を知らせる懸垂幕はなく、急に寂れた印象を抱いてしまった▼このままでは空洞化しかねない県都の「玄関口」再生のヒントにならないか-。そんな思いで今月初め、山口県周南市のJR徳山駅前を訪ねた。詳細は8日付オピニオン面の「こだまフォーラム」で紹介した通り。カフェと書店を併設した市立駅前図書館が核施設の「徳山駅前賑(にぎ)わい交流施設」は、平日の昼前ながら、幅広い年齢層でにぎわっていた▼駅の南北通路と直結した交流施設は、老朽化した旧駅ビル跡地に6年前に整備された。駅北口の東側に11年前まであった近鉄松下百貨店の跡地では、商業棟やホテルなどを備えた複合施設「徳山デッキ」の整備が進んでいた▼これを松江駅前に当てはめるには、あまりにも状況が違い過ぎる。とはいえ、図書館や書店、カフェの設置は地元住民のアンケート結果を基に実現した。にぎわいを生み出すのは地元や周辺の住民たち。そのニーズを無視していては、松江駅前の再生はおぼつかない▼再生案を募集した前記のこだまフォーラムには、40人余りから投稿が寄せられた。初投稿も目立った。関心が高い証拠だ。島根グルメを味わう施設、スポーツジム、公衆浴場…。多様な声がにぎわいを生む契機になる。(健)