物足りなさが残った。7日にあった衆院予算委員会での岸田文雄首相による東京一極集中の是正策を巡る答弁だ。地方への税制優遇措置など大胆な改革を求められたのに対し、「まずは東京圏と地方のウィンウィンの関係を目指す」と述べるにとどめた▼「まずは」という表現が引っかかった。総務省は先日、2023年に東京都で転入者が転出者を上回る「転入超過」が前年比80%増になると公表。一極集中が再加速する流れに政策の軌道修正は「待ったなし」ではないか▼10~21年に2・6%増だった過疎地域の割合が、岸田政権になった22年に1年間で3・3%増えた資料を示され、現状認識を問われた首相は「担い手や移動手段の確保の課題は大きくなっている」とした。ならば、「火の玉」として改革する気概が欲しい▼こちらも期待感は乏しかった。4日の立憲民主党大会で「次期衆院選での政権交代」を掲げた泉健太代表だ。来賓から「具がなく味わいが薄いと思うかもしれないが、一番飽きが来ない」と例えられた「塩むすび」を自身のキャッチフレーズに即採用。他の野党と共通政策で連携する「ミッション型内閣」を唱え、柔軟な姿勢をアピールする一方、信念のなさを垣間見た▼岸田首相と泉代表は今後の政局を占う4月の衆院島根1区補選で、地元入りする可能性があるとみられる。有権者が希望を持つことのできる言葉を聞きたい。(吏)