松江城に近い島根県庁前(松江市殿町)で計画されている高層マンション(高さ57メートル、19階建て)の建設を巡って、松江市が設置した景観審議会の委員12人のうち9人が、上定昭仁市長に対し審議会で再審を求めることが19日、分かった。一度は市景観計画の基準を満たすとの結論を出した審査について、委員らがやり直しを求めるのは異例で、市の対応が注目される。
20日に9人の連名で再審を求める要望書を市に提出予定。市によると再度審議会を開くには、上定市長の諮問が必要となる。
マンションは大阪市の不動産会社が計画。昨年10月20日の景観審議会では、景観計画で定める高さ基準の「松江城天守から見える東西南北の山の稜線の眺望を妨げないこと」を満たすと、全会一致で判断した。
再審を求める委員9人は要望書で、天守からの眺望だけでなく、周辺の町並みとの調和についても審議すべきだったと主張。2026年度に市が改定を予定する景観計画の内容によっては、突出した高さのマンションは基準に抵触する可能性がある点も再審の理由に挙げた。
委員の一人で要望書を取りまとめたNPO法人まつえ・まちづくり塾の金坂浩史副代表は取材に対し「景観審議会後の委員らの反応を見ても審議が十分だとは言い難い。まだ審議を重ねる必要がある」と話した。
マンションを巡っては、景観悪化を懸念する住民団体「まつえ/風景会議」(本間順一代表)も市景観審議会の審議が不十分として、再審議を要請するよう求める吉金隆市議会議長宛ての陳情書を議会事務局に提出している。(堀尾珠里花)