民俗学では「里神楽」(民間の神楽)を4種に分類してきた。里神楽は、各地で多様な伝承内容を示す。個々の神楽には、各種の要素が複雑に絡み合い、融合し、厳密な種分けは難しい。それを承知のうえで概要を述べよう(参考、渡辺伸夫「神楽」『民俗小事典 神事と芸能』吉川弘文館)。
(ア)巫女(みこ)神楽
神々に奉仕する巫女の神楽。巫女舞、八乙女(やおとめ)などとも呼ぶ。神事での祓(はら)い清めや祈祷(きとう)、祭神の御心を慰(なぐさ)め、和(なご)ますためなどに舞う。
もとは巫女が神(かみ)懸(が)かりして...