東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権は26日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、男子3000メートル障害で三浦龍司(順大、浜田東ー洛南高)が8分15秒99の日本記録で初優勝した。山口浩勢(愛三工業)が8分19秒96で2位、青木涼真(ホンダ)が8分20秒70で3位となり、東京五輪参加標準記録を突破。上位3人が代表入りを決めた。
男子400メートル障害決勝は黒川和樹(法大)が48秒69で初優勝、安部孝駿(ヤマダホールディングス)が48秒87で2位に入り、ともに初の五輪代表入り。
女子100メートル障害は寺田明日香(ジャパンクリエイト)が13秒09で11年ぶり4度目の優勝。参加標準記録には届かなかったが、代表入りに前進した。
女子3000メートル障害は山中柚乃(愛媛銀行)が日本歴代2位の9分41秒84、男子棒高跳びは竹川倖生(丸元産業)が5メートル70で、ともに初優勝した。
男子110メートル障害予選で村竹ラシッド(順大)が13秒28をマークして参加標準記録を突破し、金井大旺(ミズノ)らとともに27日の決勝に進んだ。同200メートル予選は飯塚翔太(ミズノ)、小池祐貴(住友電工)らが順当に通過。
そのほかの山陰勢では男子棒高跳びの来間弘樹(ストライダーズAC、大社高出)が12位。同ハンマー投げの柏村亮太(ヤマダホールディングス、倉吉北高出)が69メートル77で2位、赤穂弘樹(まなびや園、倉吉総合産高出)は68メートル09で6位だった。
■転倒から執念のスパート
3位以内に入れば、タイムに関係なく東京五輪出場が決まるレースだったが、守りに入るつもりは全くなかった。終盤に転倒し、会場を一瞬ざわつかせたものの、日本記録を1秒47短縮する会心の走りでゴールした三浦龍司は右手で力強くガッツポーズをつくってみせた。
出場した選手の中で唯一、五輪参加標準記録を突破しており、「レース中の判断力に磨きをかけたい」と五輪を見据えた課題を持って臨んだレース。序盤から積極的な走りで集団の先頭を走った。
順調なレース展開だったが、落とし穴が待っていたのは、ラスト1周に入る直前だった。水(すい)濠(ごう)を跳び越えた後、足を滑らせて転倒し2人に抜かれた。一瞬頭が真っ白になったというが「ここが勝負どころだ」と見極め、ギアを上げた。次の障害ですぐさま先頭に立ち、ラスト1周は後続を突き放した。
レース後、転倒直後の走りを「判断は間違っていなかった」と振り返った三浦。優勝タイムの8分15秒99はリオデジャネイロ五輪で5位に相当するタイムだが「5年前の記録なので、あまり油断はできない」と浮かれる様子はない。
驚異的なペースで成長を続ける19歳の快進撃が地元開催の五輪でも続くと信じたい。
(藤原康平)