2021年12月に開かれた自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー。「政治とカネ」の問題がまた繰り返された=東京都内のホテル
2021年12月に開かれた自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー。「政治とカネ」の問題がまた繰り返された=東京都内のホテル

 「一月往(い)ぬる、二月逃げる、三月去る」というが、あっという間に3月も後半になった。元日に襲った能登半島地震や、昨年末からの自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に人気芸人の性加害疑惑。それに米大リーグ・ドジャースに移籍した大谷翔平選手の動向に気を奪われていたからだろう。テレビや新聞、スマートフォンから入ってくるニュースや情報でせわしなかった▼そのせいか、ウクライナやパレスチナ自治区ガザでの戦闘、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題などは一時期、意識の中心から外れていた。人間の記憶容量に限りがあるとすれば、時間の経過とともに関心も記憶も薄れ、別のニュースで上書きされていく▼例えば、当時は大騒ぎした「森友・加計学園」や「桜を見る会」の問題は、うやむやのまま幕引きされてしまった感じだ。発生から13年が過ぎた福島第1原発事故も風化が懸念されている▼「木を隠すなら森の中」ではあるまいが、隠す意図がなくてもニュースや情報の量が増えれば増えるほど「不都合なニュース」は目立たなくなる▼おまけにニュースの賞味期限は短い。量が多すぎたとしても冷凍保存は難しい。結果、消化不良のままやがて関心が薄れていく。しかし、何でもかんでも風化させてしまうと誰かの思うつぼ。「政治とカネ」の問題のように「歴史は繰り返す」ことになりかねない。ご用心だ。(己)