巡礼者にごちそうを用意してもてなす地区の人たち=島根県知夫村、来居御堂
巡礼者にごちそうを用意してもてなす地区の人たち=島根県知夫村、来居御堂

 弘法大師の命日に島内の各地区にある地蔵や堂を巡礼し、地区の人から料理でもてなしを受ける「お大師参り」が29日、島根県知夫村であった。新型コロナウイルスの影響で5年ぶりにもてなしが再開し、多くの住民が各地区の特色ある料理を楽しんだ。

 お大師参りは毎年旧暦の3月21日に開催され、知夫里島にある計8カ所の堂や地蔵を巡礼する。かつては遍路のように徒歩で巡礼していたが、現在は多くの人が自家用車で各地区を訪れている。各地区では女性を中心に朝早くから巡礼者をもてなす料理を準備した。

 来居(くりい)地区ではホットサンドとフルーツポンチ、古海(うるみ)地区はタマゴコロッケ、多沢(たたく)地区はカレーなど地区ごとにある名物料理が、周遊を促した。巡礼者は浄財を納めた上でもてなしを受け、地区の人と談笑を楽しんだ。

 短期就業体験「大人の島留学」で村内に滞在する佐藤華奈(はるな)さん(28)=山形県出身=は「いろいろな地区に行くことができ、いい機会になった」と喜んだ。

 (鎌田剛)