地元の人と交流しながら接客する記者(右)=大分県日田市元町、にこにこ交流館
地元の人と交流しながら接客する記者(右)=大分県日田市元町、にこにこ交流館
地元の人と交流しながら接客する記者(右)=大分県日田市元町、にこにこ交流館

 <前回のあらすじ>いよいよ浜田市のアジ、ノドグロ、カレイの販売日。完売を目指して古里・大分県日田市に向かった。

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 出雲空港から飛行機を使うと、日田までは3時間かからない。6月25日に現地入りし、浜田からの魚を受け取るのが最初のミッションだった。

 記者も作ったアジの干物2匹入り325セットに、浜田市の水産物ブランド「どんちっち」の基準を満たすノドグロとカレイが干物で100匹ずつ。その半分が先に届いた。数は聞いていたが、送迎してくれた父と一緒に、古里の方言で「こげんあると?」と腰を抜かした。

 26日は午前10時に会場入り。早朝に浜田を出たという浜田漁商協同組合事務局長の石井信孝さん(73)=大分県玖珠町出身=と合流した。石井さんの手には、浜田名物・赤てん100個があった。

 会場には「どんどん食べよう どんちっち~」と軽快なリズムで販促用の映像が流れ始めた。浜田市水産振興課の上原達亮主事も応援に駆け付け、ポスターやのぼり旗で会場を飾った。

 午前11時の販売開始を前に、15人くらいの列ができていた。時計を確認し、いよいよスタート。記者は会計担当で「カレイ一つ、ノドグロ二つ…」と久々の接客にてんやわんやだった。

 記者の友人は県外就職が多く、近所の人や友人の家族が代わりに来てくれた。

 石井さんと高校時代からの付き合いで「海の物と山の物を交換してきた」という後藤久生さん(74)=大分県由布市=は「地元の人が中心のイベントなのがいい」と喜んでくれた。

 意外な出会いもあった。娘が松江市在住で、年に5回は島根に来るという松原サトミさん(58)=玖珠町=は「いつも向こうのスーパーで買う」と、赤てんとカレイに目を留めた。これまでにも知人にお裾分けして、喜ばれたそうだ。

 ノドグロはアジやカレイの3倍の1200円だが、知名度もあって大人気で、午後1時には品切れ。27日の販売分を早めに出す、うれしい誤算があった。

 27日はアジの完売を目指して試食に力を入れ、まとめ買いは値引きすることにした。上原さんも「普通のアジの2倍は脂が乗ってますよ」をうたい文句に、積極的に声掛けしてくれた。

 ノドグロ目当てだった人や通り掛かった人に試食を促すと「いい味ね」と好感触。「じゃあ一つ」と手が延びた。浜田のいいあんばいは古里でも好評だった。

 午後4時すぎには完売の見通しが立ち、肩の荷が下りた。翌日に仕事を控えた石井さん、上原さんを見送り、午後6時に終了。来場数は概算で初日70人、2日目60人。仕入れ数から考えると、1人当たりの購入数が多かったことが分かる。

 「日田を元気づけてくれてありがとう」「またやってね」と励ましの声をたくさんもらった。不安だらけの挑戦だったが、喜んでもらえたようだ。少し名残惜しかったが、胸を張って島根に帰ることができた。

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 どんちっち編第6回は18日に掲載。今回の経験を次に生かす手だてを考えます。