「UFO(未確認飛行物体)や宇宙人はすぐ近くにいる」。日本テレビのディレクターとしてUFOシリーズを手掛けた矢追純一氏が30年前、出雲市内で講演した。まるで見てきたかのような話に、当時中学生だった筆者はおののいた▼矢追氏は各地で住民がUFO内にさらわれ、小型チップを埋め込まれていると主張。にわかに信じ難いと思った。それ以上に矢追氏が日本テレビを辞してまでUFOを追うのはなぜか、不思議で仕方なかった▼1990年代半ばになると、テレビでUFOや未確認動物を追う番組はかなり廃れていた。程なくオウム真理教による一連の事件が発生。オカルト系はお茶の間から消え去った▼先日、民放BS局の報道番組にオカルト情報誌「ムー」の三上丈晴編集長が有識者として出演し、UFOについて真面目に議論していた。近年明らかになった米海軍パイロットが撮影したUFO映像をはじめ、2004年以降に軍などから144件もの目撃報告があり、米国家情報長官室が、1件を除く全てを「正体不明」とした。一方、三上氏は軍事組織の秘密兵器と推論した▼米当局が否定しなかったUFOの存在―。ふと矢追氏が気になり調べると、85歳の今もUFO講義を続けていた。世の中、何が起こるか分からない。信念を持ち続けると日の当たる日も来るということか。ただ、米側は宇宙人について言及していない。(釜)